零細・中小企業が苦戦する採用の課題を克服する鍵は、積極的な情報発信にあります。
そのためには自社の強みや魅力、求職者のニーズを理解しなければいけません。
今回は、求める人材のビジョンの明確化、現場の意見を取り入れた改善方法、そして成功へ導く採用ノウハウの蓄積について解説します。
応募数が0だった企業が採用に成功した事例も紹介するので、参考にしてみてください。
目次
これぞ中小企業が誇れる強み・魅力
中小企業の最大の強みは、従業員一人ひとりが企業成長に大きく貢献できることです。
規模が小さいことから、従業員は幅広い業務を経験できます。また、経営層との距離が近いため、自分の意見やアイデアを反映しやすい環境も整っています。
たとえば、作業の効率化や新しいプロジェクトの立ち上げなどで、従業員のアイデアが採用されることも珍しくありません。
自分の能力で仕事を動かせる醍醐味は、大手企業ではなかなか味わえないでしょう。
「社員一人ひとりの成長が直接組織の発展に貢献できる楽しさこそ、中小企業の大きな魅力です。
自社の強みをしっかり理解したら、その魅力を発信しよう！
自社の強みの積極的な発信こそが、零細・中小企業にとっての成功の鍵です。
中小企業ならではのアットホームな雰囲気や、従業員一人ひとりの貢献がダイレクトに会社の成長に繋がる達成感は、大手企業ではなかなか得られません。
従業員の声を反映した求人原稿の作成や、社内アンケート等を活用した働きやすさのアピールは、求職者に自社の雰囲気を具体的に伝える効果的な方法です。
社内の風通しの良さや個々の成長機会を前面に出すことで、そこに魅力を感じる人材を引き寄せることができます。
採用したい人材のビジョンを明確に
採用活動の成功は、求める人材のビジョンの明確化が重要です。
どのようなスキルや経験を持った人材が必要かを具体的に定義することで、効果的にターゲットを絞り込んだ、適切な採用活動が行なえます。
このプロセスは採用活動を成功させるために必要不可欠なため、時間をかけてでもじっくりと取り組んでみてください。
どのような人材が欲しいかを明確に
欲しい人材の特徴が明確になることで、効果的な広報活動ができます。
たとえば、具体的な技術や顧客サービスへの姿勢を明確に提示できれば、それに興味を持つ求職者の応募を促すことができます。
一方で、欲しい人材が曖昧だと、求職者の興味を惹けなかったり、マッチングしづらい人材からの応募が増えたりと、お互いにとって良い結果を生みません。
結果、採用活動に多くの広告費や時間をかけることにつながります。効率良い採用のためにも、欲しい人材の明確化を行ってみてください。
求める人材は、現場へのヒアリングが不可欠
求める人材像を具体化するためには、現場のスタッフへのヒアリングが不可欠です。
現場スタッフは日々の業務をよく知っているため、どのようなスキルや性格を持つ人材が業務にフィットするかを理解しています。
また、同時にどんな人材が現場に必要かも熟知しています。
現場からヒアリングした内容を採用プロセスに反映させることで、採用のミスマッチを減らせます。
実際の業務にフィットした人材にピンポイントでアピールするためにも、現場へのヒアリングは欠かせません。
※ 企業の採用シーンで使われる「ミスマッチ」は、企業側と求職者側の組み合わせにおいて認識のズレが起きることを指し「採用ミスマッチ」とも言われます。
採用ノウハウを蓄積し、ノウハウ不足を防ぐ
採用活動で得られたデータの蓄積は、より効果的な採用戦略を練るために重要です。
- どの求人広告でどのような求職者が集まったのか？
- 採用活動で求職者とのコミュニケーション方法は？
- 採用後の業務でミスマッチはなかったか？
これらのデータが蓄積することで、今後の採用活動でノウハウが不足することを防ぐことができます。
データの蓄積には、無料で使えてネットに疎い方でも直感的に扱えるGoogleスプレッドシートがおすすめです。
求人広告、採用活動、採用後の業務でそれぞれ項目を作り、求人活動に関する情報を入力してみてください。
最初は慣れないかもしれませんが、データが蓄積されると、どこがネックになっているのか徐々に傾向が見えてきます。
それらのデータを基に改善を行い、効率的な採用活動を実現しましょう。
Googleスプレッドシートの特徴と基本
Googleスプレッドシートは、オンラインで利用できる表計算ソフトで、Google Workspaceの一部として提供されています。
Microsoft Excelと比較して、オンラインでの共同編集に特化しており、リアルタイムでの編集が可能で、共有や「閲覧のみ可」への変更、編集権限の付与などが簡単に行えます。
導入手順は以下の通りです。
- Googleアカウントの作成またはログイン: Googleスプレッドシートを使用するには、Googleアカウントが必要です。
アカウントを持っていない場合は、Googleのサイトで新規作成し、既にアカウントを持っている場合はログインしてください。 - Googleスプレッドシートのアクセス: ブラウザでGoogle Driveにアクセスし、「新規」ボタンをクリックしてから「Googleスプレッドシート」を選択するか、直接スプレッドシートのウェブサイトにアクセスします。
- 新しいスプレッドシートの作成: Googleスプレッドシートの画面で、「+」アイコンをクリックするか、「新しいスプレッドシート」を選択して新しいドキュメントを作成します。
- シートの編集とフォーマット: 新しいシートが開かれたら、セルにデータを入力し、表計算やグラフの作成、関数の使用などを行います。基本的な使い方はExcelと同様ですが、オンラインでの共同作業に特化した機能も利用できます。
- 共有と共同編集: 右上の「共有」ボタンをクリックして、共有したい相手のメールアドレスを入力し、編集権限を設定します。リンクをコピーして共有することも可能です。
Googleスプレッドシートには、ショートカットキーやアドオン、関数など、作業を効率化するための便利な機能が多数用意されています。
これらを活用して、より快適にスプレッドシートを使用しましょう。
実際の業務、社内の雰囲気など魅力を発信！
大手企業と異なり、中小企業は実際の業務内容と社内の雰囲気を伝えやすい強みがあります。
ダイレクトに自社の魅力をアピール！
実際の働き方や社内の雰囲気がイメージできる情報を発信することが、求職者が会社を選ぶうえで重要な判断材料になります。
具体的には、社員インタビューやアンケートの結果を公開し、実際の働き心地や社風を伝えるなどです。
さらに、モデル月収や年収、会社の将来のビジョンを共有することも効果的です。
求職者の不安を解消し、長期的なキャリアを築ける安定した職場だとアピールできます。
企業の強みや内面を打ち出すことは透明性を高めて、求職者と信頼を築くうえで効果的です。
会社を身近に感じてもらえるような情報発信
企業の採用ページで求職者に会社の雰囲気を伝えるには、実際の社員の声を反映したアンケートが効果的です。
従業員の多くない企業であれば、アットホームな雰囲気や社員個々の個性が浮かび上がるような質問が適しています。
【仕事のやりがい】・この仕事を通じて達成感を感じる瞬間はどんなとき? ・あなたにとっての仕事の魅力は何?
【職場の雰囲気】 ・社内の雰囲気を一言で表すと? ・チームワークを大切にする会社の一員として、どんな経験をした?
【個人の成長】 ・入社してからどんなスキルアップがあった? ・会社のサポートで実現したいことは?
【ワークライフバランス】 ・仕事とプライベートの両立のため、何を心がけている? ・休日はどう過ごしている?
【入社のきっかけと経緯】 ・当社を選んだ理由は? ・入社前後で変わったことは?
このようなアンケートを、社員の写真や名前とともに採用ページに掲載すれば、リアルな会社の姿が伝わり、求職者が入社後のイメージを描きやすくなります。
ただし、回答の掲載に当たっては、社員のプライバシーにも十分留意する必要があります。
写真撮影は便利なアプリを活用する
基本的な撮影テクニックをマスターしていくのも大事ですが、最近ではアプリで便利なものが増えています。
無料で使えるものもありますし、それぞれの事業内容によって最適なアプリは変わってきます。
こちらのページを参考に写真アプリを選んでみるのもおすすめです。
HPを改善し、魅力と情報を発信する
優秀な人材を惹きつけるためにも自社HPの改善と、自社の魅力の情報発信は重要です。
採用活動で他社と競争力をもつための方法をお伝えします。
採用ホームページにおける情報発信
採用ホームページは、求職者に企業の事業内容や共に働くスタッフを知ってもらうための重要なツールです。
企業のビジョンや事業内容を詳しく紹介する他にも、求職者に企業文化や職場の雰囲気が伝わるようにします。
たとえば、実際に働いているスタッフの業務風景を写真や動画で見せることで、どのような人たちが働いているのかを示せます。
採用ホームページを充実させることで、求職者に対して自社を魅力的にアピールして、興味を引き出すことが可能です。
初心者でも簡単にホームページをブラッシュアップできる方法
ホームページは企業の顔となるため、魅力的で分かりやすいデザインに仕上げることが重要です。
初心者の方でもホームページビルダーを利用すれば、簡単にホームページの作成・編集ができます。
■ホームページビルダーのメリット
- WixやSquarespaceなどのサービスでは豊富なテンプレートが用意されており、ドラッグ&ドロップで直感的にデザインが変更可能
- プログラミングの知識がなくても利用できる
■デザイン作成のポイント
- サイトの目的(情報提供、商品販売など)を明確にし、それに合わせたコンテンツを作成する
- シンプルで見やすいデザインを心がける
- スマホ/タブレットでも見やすいよう、レスポンシブデザインを採用
- コンテンツは定期的に更新し、最新情報を掲載
- SEO対策としてキーワード設定やメタデータの最適化を行う
■追加が望ましいコンテンツ
- 企業/業界の最新情報を発信するブログ
- よくある質問とその回答をまとめたFAQセクション
- お問い合わせフォーム
- SNS(Facebook/Twitter/Instagram)と連携し、コミュニケーションを図る
このように、初心者でも扱いやすいツールを活用し、コンテンツとデザインのポイントを押さえることで、魅力的なホームページを作ることができます。
求職者目線でHPを改善することも有効
HPを求職者の目線で改善することは、採用活動で大きな成果をもたらします。
事例を1つ紹介します。
BEASTAR株式会社は、求人媒体に掲載しても応募が来ず、内定を出しても来てもらえないことが多かったそうです。
しかし、求職者目線の広報活動に力を入れてから、年間で600人以上からの応募を獲得し、5名の採用に成功しました。
具体的には、営業未経験の方が応募しやすいように社員インタビューを行っています。
- 「何歳から営業を始めたのか？」
- 「未経験からの営業職への転職は厳しいは本当？」
上記のような求職者が知りたい情報をもとに社員インタビューを複数回行い、その内容を情報発信を行い採用活動で成果を出しています。
SNSを積極的に活用する
SNSの積極的な活用は、特に若年層の採用活動で効果的な戦略です。
TikTokをはじめとするSNSプラットフォームは、若手の採用における需要に応えることができて、高い効果が期待できます。
TikTokやinstagramが幅広い年代、特に若い層に人気です。まずはこの二つのどちらからか始めてみるといいでしょう。
実際の職場の雰囲気や先輩スタッフの駆け出しの頃の話、研修の風景や休憩時間のちょっとした時間など、HPだけでは伝わりにくい企業の魅力をダイレクトに発信できます。
これにより、未経験の業界に不安を持つ求職者に対しても「誰でも最初は初心者」という安心感を伝えることが可能です。
また、若者はSNSに触れている時間が長いため、接触回数を増やすことで親近感をもってもらいやすい特徴もあります。
SNSの活用は、若年層とのコミュニケーションを強化できて、自社の魅力を効果的に伝える重要な手段です。
唯一無二のプロフェッショナルを語る
自社のプロフェッショナルな価値を伝えることは、魅力的な採用ブランディングにつながります。
中小企業の強みは地域密着型サービスで大手との差別化と地域貢献を実現
中小企業、特に水道業界などの事業者は、大企業には真似できない強みを持っています。
それは地域社会との深い結びつき、フットワークの良さと柔軟性、そして地域密着型のサービスです。
これらの強みを活かすことで、競合との差別化を図るだけでなく、地域社会への貢献にもつながっています。
地域社会との強い紐帯
中小企業は地域に根ざした存在として、地域ニーズを深く理解しています。
そのため、収益性よりも地域の生活基盤維持を優先し、様々な工夫を行うことで環境保全や地域経済の活性化に寄与しています。
フットワークの良さと柔軟な対応
迅速な意思決定とフットワークの良さが武器の中小企業は、顧客の細かい要望にも柔軟に対応できます。
現場の状況に合わせて臨機応変な対応をすることで、顧客満足度を高め、リピーターの獲得にもつながります。
地域密着型のサービスで信頼構築
地域に密着したサービス提供を通じて、中小企業は顧客との強固な信頼関係を築いています。
地域生活を支える役割を担い、ローカルプラットフォームで他店と連携し、ワンストップでニーズに応えることができることも強みです。
このように、中小企業は大企業にはない強みを持っています。
その力を最大限活かすことで、地域になくてはならない存在となることができ、持続的な成長が実現可能です。
このことは求職者にとって、大きな魅力となります。
あえて外角低めの球を振らせる求人戦略
特殊なスキルや独自の文化を持つ企業は、そのユニークさで求職者の興味を引きます。
わかりやすい例では、個性的な社長を全面に出すことや、特殊な技術や企業文化をアピールすることです。
求職者に会社の特徴を深く理解してもらう方法として、ユニークな求人戦略も選択肢に入れてみてください。
求人は社長個人を全面に押し出す
求人において社長個人を前面に出す戦略は、求職者に対して強力な印象を与えます。
「この人と一緒に仕事をする」という意識を持たせることで、求職者に会社への帰属意識を事前に形成できます。
たとえば、社長のメッセージ動画やインタビュー記事を掲載することで、ビジョンや人柄が直接伝わりやすいです。
企業文化や働く環境を具体的にイメージしやすく、求職者の関心を引きつけます。
社長個人を求人活動に活かすことは、人間的な側面を強調して、多くの関心を集める効果的な方法です。
社長が求めている人物像の具体化
社長が求める人物像を具体化して求職者に伝えることはインパクト大です。
社長が自ら会社のビジョン、いま直面している課題、それに対応できる能力や資質を持った人材を求めていることを語ることで、求職者に何を求めているか明確にできます。
「広く浅く」ではなく「狭く深く」のマッチングを目指し、最適な候補者を引き寄せられるでしょう。
このアプローチは、求職者が自分が果たすべき役割と会社からの期待を明確に理解するために役立ちます。
PR（訴求）ポイントの整理
求職者は変化を求めており、それが叶う企業を探しています。
企業は、求職者が求める変化が自社に入社すれば叶うことを伝えなければなりません。
そのためには、求職者のニーズを知り、情報を惜しみなく提供することで、ミスマッチのない採用が実現できます。
たとえば、自社の強みやビジョン、業務内容や社員の働きがいを詳細に伝えるなどです。
求職者側が知りたいと思うことを、伝えきる努力を怠らないことが、採用成功への鍵となります。
経営者自らが積極的に情報発信し、人を呼び込む
人材を惹きつけるために、経営者が自ら社内外にアピールすることが効果的です。
「人を見極める技術」を磨きながら、自社の魅力をもっと高めるためにできることを追求することで、求職者から選ばれる企業になれます。
採用活動で成果を出せるようになれば、その先に事業拡大などの成果にもつながります。
そのためにも、自社の強みや魅力を経営者が率先してアピールして、採用ノウハウを蓄積していきましょう。
今のままで十分に魅力すぎる魅力をさらに磨いていき、しっかりと求職者にアピールしましょう！