求人を出していても求める人数・人材が集まらない企業も多いでしょう。外部環境の変化についていけず、業界問わず人手不足の企業が増えています。
しかしそのような環境でも、採用トレンドの手法を導入し人材を確保している企業もあります。大規模の企業も地域に密着した企業も採用手法の変化が求められているのです。
なぜ従来の採用手法が通用しないのか、どのような手法がトレンドなのかをこの記事では解説しています。採用トレンドの特徴やメリットデメリットを把握し、導入する採用手法の参考にしてみてください。
外部環境の変化が採用トレンドを変えている
労働者の減少、新型コロナウイルスの蔓延によるリモートワーク・オンライン面接や採用トレンドなど求人多様化が進んでいます。
人材確保のためには企業側も外部環境の変化に対応していかなければならず、従来の採用手法では通用しなくなります。
外部環境を把握し、自社や求める人材に適した手法を実践していかなければなりません。
現在の外部環境はどのような状況なのでしょうか。
売り手市場から買い手市場と変化|労働人口の減少が原因
従来は求人を出せば仕事を求める人をたくさん集められましたが、現在は企業側から人材確保に動き出さなければなりません。
その要因として、少子化・企業の多様化・経済活動の縮小による労働人口の減少が原因だと考えられます。
独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、有効求人倍率は2022年2月時点で1.21と低い水準にとどまっています。
参考:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shuyo/0210.html
求人を出して待っているだけでは、優秀な人材はより魅力的な提案の企業へ流れてしまいます。
1人あたりの求人競争が激しくなっているため、自社の魅力や採用方法を変えてアプローチしていく必要があるのです。
オンライン採用の主流化|リモートワークの普及
リモートワーク推奨など、出勤を必要としない企業も増えてきていて、業務の多様化が進んでいます。
しかし、水道修理の場合は営業所から現場に向かうため採用後も間違いなく顔を合わせるでしょう。
採用時の面接はリモートでもいいかもしれませんが、お客様と接する機会もあるため人間性は重要な部分であると考えられます。
全てをオンラインで採用するという動きは企業の仕事内容によって合わせていくべきでしょう。
採用トレンド手法5選
この記事では近年の採用トレンド手法を以下の5選を紹介します。
- ダイレクトリクルーリング
- リファラル採用
- ソーシャルリクルーティング
- 採用ミートアップ
- オウンドメディア
それぞれの特徴・メリット・デメリットを合わせてご覧ください。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業側の採用に関わる立場の人物が、第3者サービスを利用せず人材と直接コンタクトをとってスカウトする採用手法をいいます。
従来の採用手法は、求人を出して集客を待つという売り手採用でした。
対してダイレクトリクルーティングは企業側から人材を採用しにいく買い手採用と言えます。
メリット
メリットは以下の5つです。
- 人材紹介サービスや求人広告を利用しなくていいからコストがかからない
- ピンポイントで求める人材を集められる・即戦力として働いてもらえる
- 人材に直接接触できてアプローチできる
- アウトソーシングしないため、自社採用ノウハウを蓄積
- 日本に限らず、海外からの人材にもアプローチできる
能力が高いと自称しながらも、求めていた人材ではなかった事例もあるでしょう。
ダイレクトソーシングでは、自社の求める能力・人間性・理念を持った人間を自ら探しアプローチしていくため、労働者不足・採用コストの削減が期待できます。
デメリット
デメリットは以下の4つです。
- 自社での採用活動によって業務負荷の増加・人員の確保が必要
- 企業側の魅力や採用スタンスを考案・改革していく必要がある
- 長期的計画となる・根気強さと先行投資が必要
- ダイレクトソーシングは1on1の採用方法であり、大量発注はできない
短期で結果を出すためには初期から知見が必要となり、長期的な計画を設計していく必要があります。
また、採用候補者は他者からのアプローチを受けていると考えられるため、それに負けない魅力や採用スタンスを確立しなければなりません。
リファラル採用
リファラル採用とは、自社の社員から友人や知人を紹介してもらう手法です。
紹介してくれた社員にはインセンティブが発生する仕組みを作り、人手不足の解消が期待できると注目されています。
リファラルは推薦や紹介という意味があります。
メリット
メリットは以下の3つです。
- 求人媒体や人材紹介を介さないため採用コストの削減
- 理想の人材と高確率で出会える
- 外部環境を取り入れやすくなり、自社の改善点を知れる
社員の知人や友達はすでに働いている可能性が高いです。
事前に求める人材像を周知しておけば、求める理想の人材を採用できるチャンスとなり、即戦力を獲得できます。
また、紹介者と忖度のないやりとりができることを考慮すると、自社の改善点に目を向けやすくなるのではないでしょうか?
外部コンサルを受けずに採用者で自社の成長を望めれば、さらなるコスト削減を期待できます。
デメリット
デメリットは以下の3つです。
- 採用に至るまで時間がかかる
- 社員がリファラル採用に対して協力的でない可能性がある
- あらかじめ採用スタンス・社員の紹介報酬を確立しておかなければならない
リファラル採用の計画・目標・報酬などあらかじめ取り決めし、周知しておかなければなりません。
見切り発車のまま導入しても、社員のメリットやフォローがなければ社員は協力してくれないでしょう。
自社の伝え方の周知や交渉時間の精算方法など、導入前の準備が鍵だと考えられます。
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、SNSを活用した採用手法です。
新卒や転職希望者に直接アプローチすることで、規模の小さい企業でも採用候補者を獲得できます。
近年では企業が、インスタグラム・TikTok・YouTubeを運営し、アットホーム感や自社の能力の高さをアピールしています。
また、自社に多くのファンをつくることで、人手を増やしたい時により多くの採用候補者を集められる魅力があります。
メリット
メリットは以下の4つです。
- ミスマッチを防げる=互いに理解を深め食い違いが起きにくい
- SNSの情報拡散を活用し、採用候補者を増やせる
- 人材の投稿から、人間性や能力の一端を把握できる
- 採用コストの削減
自社の特徴や業務内容をさらけ出すため、採用候補者が「自分にあっているか」を判断できます。
そのため、採用後の離職やトラブルが起きにくいと考えられます。
コストがかからないSNSを活用する手法のため、宣伝広告や集客イベントを必要とせず小規模の企業でも比較的導入しやすい手法といえるでしょう。
デメリット
デメリットは以下の2つです。
- 投稿内容によっては批判やクレームによる炎上の可能性
- 定期的な情報の更新と投稿が必要・時間と業務増加
発信しやすいSNSだからこそ発信する情報・言動には注意しなければなりません。
これは企業にも言えることで、過去にはソフトバンク・楽天トラベル・ウォルト・ディズニー・ジャパンがSNSで炎上しています。
また、定期的な更新や投稿をしなければファンを獲得できず、時間と労力を必要とします。
通常の業務と合わせての運営は難しいでしょう。
採用ミートアップ
採用ミートアップとは小規模のイベントを開催し、人材を集客する手法です。
最大10人程度の規模にし、イベントスタイルをカジュアルにすることで気兼ねなく採用候補者との交流が期待できます。
採用を漕ぎ着けるというイメージではなく、自社の広報を目的として開催する企業が多いです。
従来の企業説明会を崩した手法と考えていいでしょう。
隔てなく企業側と採用候補者の情報交換ができるため、採用スタンスの改善や世情を取り入れながら自社を宣伝できます。
メリット
メリットは以下の3つです。
- 魅力を直接伝えられ相互理解が深まりやすい
- リラックスした雰囲気で緊張感が少ない=参加者の人間性などがわかりやすい
- 自社内を会場とするため低コストで開催
小規模のため、会場を借りずに自社オフィスなどで開催できます。
そのためコストもかからず、集まった人材1人1人と深い交流によりマインドや人間性を探れるでしょう。
大衆ではなく、個人に魅力を伝えられるため広報のみならず、共感した人材の確保も期待できます。
デメリット
デメリットは以下の3つです。
- 参加者が集まらない可能性がある
- 宣伝コストがかかる
- 小規模で複数の定期的開催が理想=スケジュールの管理
会場費のコスト削減は可能ですが、場合によっては宣伝コストが必要です。
SNSを活用した集客は、すでに企業の認知が広く多くの人が投稿を目にする状況でなければ難しいでしょうし、広告の準備やミートアップの周知など、人や時間が多く必要ではないでしょうか。
また、ミートアップの開催日が他社イベント・資格試験などと被っては集客が望めません。
小規模ながら多くの人材との交流が目的であれば、周囲の状況を考慮したスケジュール管理をしてください。
採用オウンドメディア
採用オウンドメディアとは、自社が運営する採用メディアをいいます。
ブログ・ウェブサイト・広報誌・メールマガジン・SNSなどが当てはまります。
求人を前面に出すのではなく、自社の広報を第一の目的とし魅力やメッセージの蓄積が特徴です。
自社の理念に則った活動を形として発信し、活動による変化など長期で運営するほど強い印象を与えられるでしょう。
メリット
メリットは以下の3つです。
- ブランディングによる他社ライバルとの差別化
- 視聴者をファン化し、大々的な人材募集を期待できる
- 仕事内容・企業理念をオープンにするため、採用後のすれ違いが少なくなる
初期費用が少なく導入しやすい手法ですが、業界によってはあまり浸透していません。
そのため他社との差別化を図りやすく、人材を多く集客できる可能性が高まります。
また、活動の影響が過去を含め周知できるため、採用後のすれ違いやトラブルも少なくなると考えられます。
デメリット
デメリットは以下の3つです。
- 長期的な計画であり、効果がでるまで時間がかかる
- 継続的運用が難しい=外注運用コスト発生
- 通常業務との並行作業による業務増加
テレビCMやネット広告と比べると低コストで運用できますが、運用媒体によっては専門的知識が必要です。
通常業務と並行しての運用は現実的ではなく、外注による運用となるでしょう。
専門家への外注を行ったとしても、投稿を重ねて行かなければならず、社名の認知には長期期間とコストがかかります。
導入が難しい場合は企業のまとめサイトの登録を検討してみてもいいかもしれません。
人材確保の3つの準備
多様化した採用トレンドを実施していくために企業側に必要な準備は3つあると考えられます。
- 採用スケジュールを設計する
- 自社の強みを把握・他社との差別化を明確にする
- 採用ターゲットを明確化し直接的なアプローチを図る
採用スケジュールを設計する
採用フローにはイベントの開催、希望者との面接、選考、内定者フォローなど長期間に渡ります。
目的に合わせた採用スケジュールを設計しなければ、採用者不足、内定辞退といったマイナス面が考えられます。
採用スケジュールには他社のイベント、資格試験などが被らないよう考慮し、より多くの人が集まるよう綿密な打ち合わせが必須です。
自社の強みを把握・他社との差別化を明確にする
自社の強みを把握していなければ、他社との差別化にならず、より条件の良い企業へと流れてしまいます。
自社の強みとして着目する例として以下の内容が挙げられます。
- 有給数や勤務時間が他社と比べて〜
- 資格取得をサポート、インセンティブ有り
- 交通費や〇〇手当支給
- 社内SNSによる広報活動の自由
- 紹介サイトで高い自社口コミ
など採用トレンドに沿った自由度の高い新たな活動を取り入れてもいいでしょう。
業界ならではの自社魅力も盛り込んで差別化を図り、人材確保を目指してください。
採用ターゲットを明確化し直接的なアプローチを図る
自社が望む能力、資格、人間性など人材に求めるものを明確化しましょう。
先述した採用トレンドを実施し人数だけ集めても、求めるスキルが備わっていない人だらけでは労力やコストの無駄です。
大衆に向けない採用手法だからこそ、ターゲットを明確化し、ターゲットの傾向を探りましょう。
求める人材はどんな媒体に集まりやすいのか、どの学科にいるのかなどを調べ、より効果的なアプローチの準備が大切です。
採用トレンド手法を導入し人材確保を目指そう
この記事で紹介した採用トレンドに共通した特徴として、人材と企業の距離感が近く第3者サービスを利用しないため低コストで運用できる特徴があります。
人材に求めるものによって導入する採用手法は変わってくると考えられるため、採用ターゲットを明確にして取り組むようにしてください。
地域密着型の水道修理業者で考えれば、ダイレクトリクルーティングによる即戦力の獲得、採用ミートアップによる企業認知活動が効果的ではないでしょうか。
地域特性なども考慮し、ターゲットの確保を目指してください。