企業を成長させるためには、社員教育を実施し、従業員一人ひとりの力を高めることが重要です。しかし、「社員教育を実施するメリットってなに?」と考えている方も多いのではないでしょうか。
人材育成にコストをかけることで、翌年の売上高や生産性が向上するとされています。つまり、企業成長には、積極的な人材育成が重要ということです。
本記事では、社員教育の概要や実施するメリット・効果、流れを解説します。
目次
社員教育とは?
社員教育とは、端的には従業員に対して自社で働くために必要なスキルや情報を提供することです。企業によって方針や必要なスキルは異なるため、社員教育を実施して、自社に最適な成長を促します。
社員教育に力を入れることで、従業員全体の勤務方針や必要スキルが統一されるため、業績アップが見込めます。また、社員教育によって企業文化や理念を浸透させることで、企業としてまとまりを持たすことが可能です。
さらに、社員教育に力を入れることで、人材のレベルが向上します。社内にレベルの高い人材が増えると、全体的な生産性が向上し、売上向上が見めるでしょう。
少子高齢化に伴い年々日本の働く世代の人口が減少しているため転職市場は売り手市場が続き、優秀な人材確保も難しいのが現状です。そのため、社員教育に力を入れて、より優秀な人材を育成することが重要と言えるでしょう。
社員教育を実施する3つのメリット・効果
社員教育を実施するメリット・効果は、大きく分けて以下の3つです。
- 企業理念を共有できる
- 企業として対外的に信用を得られる
- 従業員全体の生産性を向上できる
順番にご紹介します。
企業理念を共有できる
社員教育を実施することで自社の企業理念を共有し、共通の認識とすることが可能です。
経営理念や経営戦略は、一部従業員が把握しているだけでは、企業の成長は期待できません。所属する従業員が共有・意識することで、一つの方向に進めます。
また、従業員に企業理念が理解されていない状況で業務を進めていると、「なぜこの業務を行なっているのか」がわからないため、結束力や指揮の低下が懸念されます。
そのため、社員教育を実施して根底部分の企業理念を共有することで、全体的なモチベーション向上が期待できるでしょう。
企業として対外的に信用を得られる
社員教育は業務に必要な知識やスキル以外にも社会人として必要な行動・マナーに関する研修を行うことで、自社従業員が社会人として常識的・マナーのある行動ができ、企業として対外的に信用を得られます。
例えば、社員教育を行わず、社会人として失礼な行動・言動を顧客に見せてしまうと、今まで築き上げた信頼を損なう可能性が高いです。特に電話対応の方法や敬語などは、気づかないうちに顧客からの信頼を失っていることがあります。
そのため、社員教育を行い、社会人として常識的な行動・言動を指導することが重要です。
従業員全体の生産性を向上できる
社員教育で自社の業務フローや必要な知識を教えることで、従業員全体の生産性を向上できます。例えば、企業が導入しているシステムの使い方がわからなければ、業務を進めることはできません。
社内研修やOJTでシステムの使い方を指導すれば、教育コストを削減可能です。ただし、従業員のスキルをすぐに向上させることはできませんので、継続的な教育が必要です。
OJTの導入
最初の上司が出世に大きく関わるとも言われており、OJTでは特に、教える側の能力が高く要求されます。
「OJT(On the Job Training)」とは、「上司が部下に対して実際に業務を通して指導を行う指導法」のことです。
つまり、質の高い社員教育を行うには質の高い社員によるOJTが必要となります。
しかし、プレイヤーとして成果を出す人が教育者として成果を出すとは限りません。経営者はそういった目線を持ってOJT制度を整える必要があります。
内発的動機付けの必要性
社員教育を実施する際は「内発的動機付け」が必要です。
内発的動機付けとは、社員個々人の好奇心や探究心・向上心など、内部要因から発生する動機のことを指します。新入社員に対して、先輩従業員や経営者が指導したとしても、本人のモチベーションが低ければ成長はあまり期待できません。
教育が必要な社員自身の意思を増加させてモチベーションを高め、行動を持続させることが重要です。さらに、企業が新入社員に対して「積極的な姿勢」を求める場合、失敗が許容されない社内風土の場合はそもそも新人は育つことが難しいでしょう。
つまり、研修内容や流れだけではなく、社内の雰囲気や風土から見直す必要があります。スキルを指導しただけでは、積極的な人材に育つとは限りません。求める人材になるように、環境づくりから始めることが重要です。その上で、内発的動機付けとして、インセンティブの設定などが効果的です。
教育フローや制度の導入に注目するだけではなく「人現代の若者の思考回路」や「仕事への情熱の向け方」などのというトレンド的な要素も教育の中に組み込む必要があります。
社員教育を実施する流れ
社員教育を実施する流れは、大きく分けて以下の4つです。
- 目標を明確化する
- 従業員の課題を把握する
- 効果測定を実施する
- 定期的にフォローアップ研修を行う
順番にご紹介します。
目標を明確化する
社員教育を行う前に、実施する目的を明確化しておきましょう。
例えば、「新入社員に対して企業理念やビジネスマナーを身につけさせたい」や「中堅社員のスキルを底上げしたい」など、あらかじめ目的を定める必要があります。
目標が明確化されていない状況では、実施する社員教育の種類や期間を決めることができません。社員教育で誰に・何を教えたいのか、を考えることで目標を明確化できるでしょう。
従業員の課題を把握する
社員教育を行う目標を明確化した後は、従業員の課題を把握しましょう。
社員教育を実施する部署をヒアリングやアンケート、業績などで決定します。その後、対象となる従業員のどの部分に問題があるのか、どのように教育を実施するべきなのかを検討しましょう。
また、社員教育を実施する従業員に対してもヒアリングを行うことで、より正確に課題を解決可能です。
効果測定を実施する
対象の従業員に対して社員教育を施した後は、アンケートを行い効果測定を実施しましょう。
社員教育で課題が解決できたか、疑問点はないかをアンケートで確認します。アンケート内容を確認し、上司から具体的な内容を伝えることで、より深く教育可能です。
一度の社員教育では、充分に必要な知識やスキルは身につかないため、対象の従業員に対して再度ヒアリングを行うと良いでしょう。
定期的にフォローアップ研修を行う
後にも記載しますが、一度社員研修を行なっただけでは必要な知識やスキルを覚えることは難しいです。また、時間とともに研修の内容は忘れてしまう可能性もあります。
そのため、定期的にフォローアップ研修を行いましょう。
過去の教育内容を復習するようなカリキュラムを提供し、抱えている課題を解決する行動が重要です。あらかじめ定めた目標に対して、どれほど近づいているかを従業員に共有することで、失敗の原因や達成感を与えられるでしょう。
社員教育の種類
社員教育は以下4つに分けられます。
- 社内研修
- 社外研修
- eラーニング
- 1on1
順番にご紹介します。
社内研修
社内研修とは、上司が先導して部下に対して教育を実施する方法です。社員を講師としたセミナー形式で研修を行う方法や、OJTのように日常業務で教育を進める方法も存在します。
企業が今まで積み重ねてきたノウハウやメソッドをマニュアル化して、社員研修で伝えることで、新入社員や中途採用者に自社の理念を伝えられます。
また、研修を実施する講師は様々なノウハウを吸収している上司が行うため、具体的に情報を伝えることもできます。会場もオフィスや関連施設などを使用すれば自社で用意できるため、あまりコストをかけることなく研修が行えます。
さらに、OJTでは単純業務から複雑な内容まで、上司とこなすため体型的に必要な知識やスキルを身につけられます。
社外研修
社外研修とは、社外の組織に講師を依頼して教育を実施する方法です。マニュアルやメソッドは外部講師が準備するため、社内で別途資料を作成する必要はありません。
また、社内の考えや経験に基づいた研修内容とは異なるため、今までにない斬新なスキルや経験を身につけられます。外部講師ならではの考え方や業務方法を得られるため、一般社員化から上司まで、幅広い従業員に影響を与えます。
特にビジネスマナーなど、社内で教育を施しづらい部分に関しては社外研修を実施するケースが多いです。
eラーニング
eラーニングとは、インターネットをはじめとする情報技術を用いて行う学習方法のことです。必要な情報やスキルをいつでもどこでも得られるため、隙間時間を使用して覚えておいてほしい内容を伝えられます。
また、eラーニング作成に特化した企業も存在するため、自社で作成するのではなく外注することで作業コストを削減可能です。ただし、外注してしまうと伝えたい内容が捉えられないこともあるため注意しましょう。
1on1
1on1とは、上司と部下が1対1で行う面談形式の教育方法です。1ヶ月に1回や3ヶ月に1回など、一定期間で実施し、業務を進める上で困っていることや悩みを聞き出すことが多いです。
社員教育を行う上では、従業員のメンタル面を整えることも重要です。人それぞれキャパシティは異なるため、従業員に合わせて教育を実施する必要があるでしょう。
まとめ
社員教育の概要や実施する効果、流れを解説しました。
社員研修を実施することで、企業理念の共有や従業員全体の生産性向上が期待できます。しかし、社員教育を行う目標を明確化し、課題を洗い出さなければ、成果を得ることはできません。
また、社員教育を実施した後も定期的にフォローアップ研修を行い、長期的な視点で従業員の成長をサポートすることも重要です。
企業全体の成長を考えている場合、組織マネジメントについて学ぶことで、より効率的な社員教育が可能です。より深く社員教育について学びたい場合は、下記記事を参考に組織マネジメントを実行してみてください。