自社でITツールの導入を考えていても、費用面で断念しているケースは多いのではないでしょうか。このような場合は「IT導入補助金」の活用がおすすめです。
しかし、「IT導入補助金ってなに?」「IT導入補助金はどのように申請すればいいの?」といった疑問が出てくるでしょう。
そこで本記事では、IT導入補助金の概要や申請方法、注意点について解説します。
目次
IT導入補助金とは?
IT導入補助金とは「サービス等生産性向上IT導入支援事業」の略で、ITサービス・システム導入資金を国がサポートする制度です。ITツール導入費用を国が一部負担することで、業務効率化・売上アップを目的としています。
個人事業主から中小企業まで申請できるため、利用することで費用を抑えてITツールを利用可能です。また、IT導入補助金は大きく分けて以下2つの対象枠があります。
- 通常枠【A・B類型】
- 低感染リスク型ビジネス枠【C・D類型】
順番にご紹介します。
通常枠【A・B類型】
IT導入補助金では、A・B類型をまとめて通常枠と呼びます。A・B類型の詳細は、以下の通りです。
A類型 | B類型 | |
注意点 | 必ず1つ以上のプロセスを担う ソフトウェアであること |
必ず4つ以上のプロセスを担う ソフトウェアであること |
補助額 | 30万円~150万円 | 150万円~450万円 |
補助率 | 2分の1以内 | 2分の1以内 |
それぞれ業務生産性向上・管理を目的としたITツールの導入が対象となり、比較的単純なシステムを搭載したA類型は補助金額が低いです。
一方、B類型は複雑で高額なITツールとなる可能が高いため、補助金額の上限は高い点が特徴と言えるでしょう。
低感染リスク型ビジネス枠【C(1,2)・D類型】
続いて、C・D類型を低感染リスク型ビジネス枠と呼びます。C型は2種類存在しており、詳細は以下の通りです。
C-1類型 | C-2類型 | D類型 | |
注意点 | 必ず2つ以上のプロセスを担う ソフトウェアであること |
必ず2つ以上のプロセスを担う ソフトウェアであること |
必ず2つ以上のプロセスを担う ソフトウェアであること |
補助額 | 30万円~300万円 | 300万円~450万円 | 30万円~150万円 |
補助率 | 3分の2以内 | 3分の2以内 | 3分の2以内 |
低感染リスク型ビジネス枠は、コロナ禍に対応したビジネスモデルの変換に向けて策定された補助枠です。
それぞれ2つ以上のプロセスを担うソフトウェアであれば補助の対象となるため、複合的な機能を持ったITツールの導入が可能です。
また、通常枠では補助されない、PC・タブレッドなどのハードウェアレンタルも対象となり、補助率も大きいため、ITツールを利用した事業立ち上げ時は申請すると良いでしょう。
IT導入補助金の申請方法7ステップ
IT導入補助金の申請方法は、以下7ステップに分かれます。
- 申請前の準備
- 導入ITツール・支援事業者の選定
- 申請マイページの招待を獲得する
- SECURITY ACTION自己宣言
- 必要書類の提出
- 事業開始・実績報告
- 成果報告
順番にご紹介します。
申請前の準備
IT導入補助金の利用を検討している場合には、申請の準備から始めましょう。申請前に全体的な流れや概要を把握しておくとスムーズに申請できます。
自社が抱えている課題や採択審査を知り、必要なITツールは何か、どのような申請書を作る必要があるのか、を把握しておくと良いでしょう。
導入ITツール・支援事業者の選定
申請までの準備ができた後は、導入するITツールを決定しましょう。
また、IT導入補助金を申請する際は、ITツールの申請だけではなく、支援業者も同時に選定する必要があります。
場合によっては、ITツールの剪定よりも早い段階で支援業者を選ぶことがあります。支援業者はIT導入補助金公式HPから確認できるため、記載されている業者だけ利用可能です。
そのため、支援業者の選定も必要であることも覚えておきましょう。
申請マイページの招待を獲得する
導入ITツール・支援事業者の選定が完了した後は、業者から「申請マイページ」の招待を獲得しましょう。
申請マイページとは、IT導入補助金の申請書類を電子化したWebページです。申請マイページがなければIT導入補助金は利用できませんので、必ず支援業者から招待を受け取りましょう。
また、申請マイページを獲得した後は、申請類型の決定と経営診断ツールへの入力に進みましょう。
申請類型とは上記で紹介したIT導入補助金の種類を指します。導入予定のITツールによって類型は異なるため、必ず条件・要項の確認が必要です。
IT導入補助金では、申請マイページから独自経営診断ツールを用いて、企業の財務状況の入力が求められます。
入力項目は比較的簡単ですが、企業帳簿部分の入力が必要なため、未上場・ベンチャー企業は経営者が入力する必要があるでしょう。
SECURITY ACTION自己宣言
経営診断ツールへの入力が完了した後は、SECURITY ACTION自己宣言を実施します。SECURITY ACTION自己宣言とは、個人事業主・中小企業がITツール導入時に情報セキュリティ対策を施し、取り組むことの宣言です。
第三者機関が宣言を確認することはなく、自社で定めた目標に対して、Webページで宣言を実施するだけになります。
ただし、IT導入補助金申請には必要になりますので、忘れないように注意しましょう。
必要書類の提出
SECURITY ACTION自己宣言を実施した後は、必要書類を提出しましょう。
提出が必要な書類は以下の通りです。
個人事業主の場合
- 運転免許証または運転経歴証明書または住民票
- 所得税の納税証明書
- 所得税確定申告書B
法人の場合
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書
共有書類
- 導入ITツール情報
- 導入後5年間の売上・労働時間
ご自身に該当する書類は前以って用意しておきましょう。
事業開始・実績報告
必要書類の提出が完了した後は、ITツールを導入し、事業を開始します。ITツールを導入する際は、IT導入支援事業者に費用を支払う必要があるため、あらかじめ注意ください。
また、事業を進めた際は事業実績報告を実施しましょう。その際は、IT支援事業者に費用を支払った証明書が必要になるため、合わせて用意が必要です。
事業実績の報告が完了した後に、国から補助金が支払われることになります。
成果報告
補助金が支払われた後もA類型は3年間、B類型は5年間、国に事業成果報告をする必要があります。
ITツールを導入してどのように生産性が向上したのか、といった部分を報告しましょう。
IT導入補助金を利用する際の3つの注意点
IT導入補助金を利用する際は、以下3つに注意が必要です。
- 1. 一度交付されると年内に再申請はできない
- 2. 費用は後払い受け取り
- 3. 必ず受け取れるわけではない
順番にご紹介します。
一度交付されると年内に再申請はできない
IT導入補助金は、一度交付されると年内は再申請できません。
例えば、2020年にIT導入補助金が交付された場合、2020年内は申請ができないため注意しましょう。
また、IT導入補助金は交付された後も成果報告が必要です。そのため、複数申請はしない方が良いでしょう。
費用は後から支払われる
IT導入補助金は、ITツール・支援事業者にコストを支払った後に費用を受け取れます。そのため、企業側である程度費用を用意しておく必要があるでしょう。
また、補助金が支給されるまでは1ヶ月程度かかります。最大で450万円の費用を企業が立て替えることになりますので、その間の資金売り方法を検討しておきましょう。
必ず受け取れるわけではない
IT導入補助金は、申請すれば必ず受け取れるわけではありません。
申請した後に採択が行われ、通過した場合のみ費用が支払われます。申請書の内容に不備がある場合やITツール導入により生産性が向上しないと見なされれば、採択されない可能性があります。
そのため、採択されるように事業内容の見直し、正しく申請書を記載し申し込むようにしましょう。
まとめ
以上、IT導入補助金の概要や申請方法、注意点について解説しました。
IT導入補助金を利用することで、コストを抑えてITツールの導入が可能です。最大450万円まで補助してくれるため、規模の大きいITツールも検討できるでしょう。
IT導入補助金は正しい申請手順を踏めば、採択される可能性は高いです。導入を考えているITツールがある場合は、IT導入補助金を活用してみてはいかがでしょうか。