コールセンターで働くスタッフが直面するカスタマーハラスメント(カスハラ)は、企業にとっても大きな課題です。理不尽な要求や暴言によるストレスは、スタッフの健康や企業イメージに悪影響を及ぼすだけでなく、法的リスクも伴います。
そこで今回は、コールセンターで取るべきカスハラ対策を詳しく解説し、スタッフと自社を守る方法を紹介します。
自社で抱えるカスハラ問題にお悩みの方は参考にしてください。
目次
コールセンターでのカスハラとは?
「カスハラ」と略されるカスタマーハラスメントとは、ユーザーから理不尽な要求をされたり、暴言や侮辱、罵倒といった迷惑行為を受けることを指します。
- 暴言、侮辱、名誉毀損、脅迫、中傷、罵倒
- 大声で話す、怒鳴る、など
- 過度な謝罪、金銭の要求
- 差別的な言動
- 性的な言動
コールセンターへの問い合わせは、思ったことをすぐに伝えられる手軽な連絡手段であるため、ユーザーが感情的になりやすい環境です。ユーザーが顔を見られていないことで、さらにヒートアップする傾向があります。
このため、最近では国や自治体、大手企業などもカスハラ対策に力を入れています。
カスハラとクレームの違い
カスハラと正当なクレームの違いは、迷惑行為が含まれているかどうかです。クレームは、商品やサービスに対する不満を伝え、改善や補償を求めるものですが、カスハラには不当な金銭や過度な謝罪の要求が含まれます。
判断基準は企業文化によって異なる場合もありますが、以下の2点が一般的です。
- ユーザーの要求内容に妥当性があるか
- 要求を実現する方法や手段が一般常識に照らして妥当かどうか
コールセンターのカスハラを放置するリスク
コールセンターが抱えるカスハラ問題を放置すると、下記のようなリスクが発生します。
- スタッフのストレス増加
- 自社のイメージが下がる
- 責任問題が発生する
詳しく見ていきましょう。
スタッフのストレス増加
自社のカスハラ対策が不十分だと、スタッフのストレス増加に繋がります。オペレーターはユーザーからどんなに理不尽な言葉を投げられても、謝罪したり気を使ったりしているからです。
カスハラ対策やストレスケアが十分でないと、スタッフのストレスは増加する一方です。最悪の場合、休職や離職するスタッフが増え、人員不足に陥るおそれがあります。
自社のイメージが下がる
カスハラをするユーザーに対して適切な対応ができないと、自社のイメージダウンに繋がります。カスハラをするユーザーはコールセンターの対応が不適切だと感じた場合、口コミやSNSなどで批判的な意見を広める可能性があるからです。
たとえ口コミの内容が事実と異なる場合でも、悪評が広まってしまうと自社のイメージに傷がつきます。このような事態を避けるためにも、カスハラには適切に対応できるよう対策を用意しておきましょう。
責任問題が発生する
カスハラ対策をしないと、自社とスタッフの間で責任問題が発生する可能性があります。スタッフがカスハラによって心身に被害を受けた場合、企業がその対応を怠ることで法的責任を問われる可能性があるからです。
実際に過去には、スタッフがカスハラによるストレスで休職し、企業が損害賠償を請求されるケースがありました。自社でこのようなトラブルを招かないためにも、カスハラ対策をしっかり行いましょう。
カスハラへの対応方法
悪質な迷惑行為であるカスハラには適切に対応する必要があります。カスハラへの対応方法は次のとおりです。
- 通常のクレーム対応をする
- オペレーターを交代する
- 毅然とした対応をする
- 対応内容は記録する
詳しく見ていきましょう。
まずは通常のクレーム対応
カスハラに遭遇したら、まずは落ち着いて通常のクレーム対応をしましょう。最初からカスハラだと決めつけた対応をすると、「クレーマー扱いをされた!」といわれかねません。
こちらに落ち度がないよう、基本の手順通りに対応しましょう。
▼基本的なクレーム対応
- 相手の心情を理解し、不便や迷惑をかけたことを謝罪する
- 何が問題になっているのか原因と事実を確認する
- 問題の代替案・解決策を提示する
- 再度謝罪し、ご意見に対して感謝する
オペレーターを交代する
通常のクレーム対応でユーザーが納得しない場合は、オペレーターを交代しましょう。対応するオペレーターを交代することで、ユーザーが冷静になることがあります。
カスハラには一人で対応せず、組織として対応する仕組みづくりを行いましょう。
毅然とした対応をする
相手がヒートアップしてしまい、どれだけ話しても解決しない場合は、毅然とした態度で「これ以上の対応はできかねます。」と断りましょう。
その後、再び電話がかかってきたとしても、同様に毅然とした態度で対応すると、相手も落ち着く場合があります。もし何度も連絡が来る場合は、状況に応じて弁護士や警察への相談を検討しましょう。
対応内容は記録する
カスハラの対応内容はしっかりと記録し、組織全体で共有しましょう。実際にあった事例を共有することで、他のスタッフも事前にイメージを掴むことができ、カスハラに遭遇しても冷静に対処することができます。
コールセンターでのカスハラ対策
ここではコールセンターで行うべきカスハラ対策について解説します。
- 対応マニュアルを作成して研修を行う
- 通話音声の録音
- 場合によっては法的措置
対応マニュアルを作成して研修を行う
オペレーターがいつカスハラに遭遇しても適切な対応を取れるよう、マニュアルを用意しておきましょう。マニュアルでは下記の2点についてルールを定めておくと、組織として一貫した対応が可能になります。
- 対応のフローを定めておく
- 次のアクションを起こすタイミングを決めておく
さらに、マニュアルを元にした研修を行うことで、実践的なスキルが身につきます。現場での冷静な判断力が身につき、スタッフの負担軽減に繋がります。。
通話音声の録音
カスハラに遭遇した際は、通話内容を録音しましょう。録音して記録を残せば、カスハラの証拠を押さえられます。
さらに通話内容を録音することを伝えると、カスハラを牽制できる効果も期待できます。
場合によっては法的措置
ここまでの対策でカスハラによるトラブルを解決できない場合は、警察や弁護士への相談を検討しましょう。行き過ぎたカスハラ行為には法的措置が必要になる場合があり、組織だけで解決するのが難しくなります。
無理に自社だけで解決しようとすると、逆に立場が悪くなる可能性もあるため、自社とスタッフを守るためにも法的専門機関を頼りましょう。
カスハラに負けないサービスを提供しましょう
カスハラ対策は、コールセンターを抱える企業にとって非常に重要です。カスハラとクレームを正しく区別し、対応マニュアルや研修、通話録音を活用することで、自社とスタッフを守ることができます。これらの対策に組織全体で取り組み、カスハラに負けないサービスを提供しましょう。