マーケティング業務を補助するツールの中で積極的に活用されているのがAIです。
「最近、聞くようになったAIマーケティングのことを知りたい」
「普通のマーケティングと何が違うの?」
上記のような関心や疑問を持つ方もいるでしょう。
今回の記事では、AIマーケティングについて活用の意義やメリット、デメリット・注意点を解説します。
目次
AIマーケティングとは
AIマーケティングとは、いま話題の「AI」をマーケティングに応用した手法のことです。
そこで、AIマーケティングを理解するためには、「AI」と「マーケティング」それぞれの言葉について知ることが近道となります。
「AI」
AIとは、「人工知能」を意味する”Artificial Intelligence”のイニシャルを取った言葉です。
一般には、広く「AI(えーあい)」と呼ばれており、近年では「機械学習」や「ディープランニング」といった分野が注目されています。
AIの定義は、広い意味で「人間の知能を再現する機械やシステム」の総称です。しかし、時代によっても変化し、専門家によっても定義が異なるため一概には決められません。
そして、AIマーケティングの「AI」は、情報・工学分野全体の中でも急速な技術革新が見込めるようになった言語処理技術や膨大なデータ処理技術のことです。
マーケティング
マーケティングとは、ユーザーのニーズを把握して企業が利益を生み出す活動全般のことを指します。
例えば、新商品の広告を出して集客し、売上に結びつけるまでの一連の行為は、すべてが「マーケティング」の一環です。
特にAIマーケティングは、マーケティングの手法にAIという技術を組み合わせています。
そのため、従来のアナログなマーケティング手法とは一線を画します。
AIをマーケティングで組み合わせて使うことの意義
具体的な意義としては、以下が挙げられます。
- マーケティングに欠かせないデータ収集や分析、自動化を行える
- マーケティング業務に要していた時間や手間、費用を抑える
- マーケティング業務の効率を高めることができる
したがって、AIマーケティングには、2つを掛け合わせることで今までは難しかったことも、できるようになるという意義があります。
AIマーケティングの必要性が高まっている理由
AIマーケティングが必要な理由は、時代の変化に対応を迫られているからです。
- 顧客アクションを分析する
- 顧客の対応を一部、自動化する
- サービスのクオリティを上げる
企業はAIをマーケティング活用を前提に、目的や必要性を見極めて導入しています。
例えば、小売・EC事業者が実店舗を経営する場合、インターネット経由でECサイトにも出店して販路を広げる時代です。
そこで、商品のネット販売やサービス予約・提供を行うことが求められています。
また、実店舗のないEC事業が専門の会社では、デジタルな顧客情報を収集・分析して、売上アップに活用することは珍しくありません。
さまざまな業務をこなすためには、企業が人材を雇って、EC運用に対応する必要があります。
しかし、予算的に人材を増やすだけの余裕がなく、自社社員が業務を増やすのも難しいケースでは、コア業務を雑務が圧迫します。
AIマーケティングは、人材の不足や業務効率の低下を改善するために、必要性が高まっているのです。
マーケティング関連のツールにAI搭載
MAツールや販売管理システムにAIを組み込んでいるケースはよくあります。
「マーケティングなのに販売管理システムもAIマーケティング?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、販売管理システムは在庫や出荷の管理だけではありません。
商品の在庫数を決める将来予測の高度な機能が必要で、AIをマーケティングに上手く活用することができます。
AIマーケティングを取り入れるメリット
AIマーケティングは、企業にとってさまざまなメリットがあります。以下に3つのメリットを紹介します。
メリット1.非効率な作業の改善
AIマーケティングの代表的なメリットは、マーケティング業務の効率化です。
近年は、マーケティングに関わるさまざまな業務は、ツール導入などでデジタル化が進んでいます。
しかし、現在でも手作業による非効率な部分があるでしょう。
そこで、AIマーケティングは非効率な作業を減らします。
メリット2.蓄積したデータを社内で活かす体制を作りやすい
企業がマーケティングをする際に、情報断絶のしやすい部署間の問題をAIは容易に解決することができます。
デジタルデータで管理してAIに共有・分析させることで、部署ごとで活用しやすくなるのです。
「自部署の情報でしかマーケティング施策を練れない」という課題を抱える企業はよくあります。
そのため、AIマーケティングは企業(部署)全体の情報を把握した上で、本当に自社に求められる施策を提案できます。
メリット3.人材の足りない企業の助けになる
企業はAIマーケティングが可能なツール導入などを経て、業務上の人材不足を補うことができます。
実際に、AIは大量のデータを高速で処理し、学習や予測を行えます。
つまり、マーケティング業務の中でも繰り返し行われるルーティン業務や複雑なデータ分析作業を効率的にするのです。
特に、企業は人材獲得の競争が激しいため、優秀な人材は大手や有名企業に流れてしまい、中小企業の多くは優秀な人材を確保することが難しくなっています。
人手が足りず、社員のコア業務を雑務が圧迫し、本来のマーケティング業務に注力できない状況が生まれるのです。
以上、マーケティングに係る人材不足の問題を解消するメリットがあります。
AIマーケティングを利用するデメリット
マーケティング業務の効率化を目的にAIマーケティングを使うときにはデメリットに気をつける必要があります。
長期的な運用を視野に入れる
AIマーケティングを利用する場合に気をつけたいのが、短期的に効果を求めすぎないことです。
企業側が人間による手動と自動(AI活用)の線引をして、自動化する部分に慣れる必要があります。
そのため、売上増や業務のクオリティ向上など、短期間に効果が見込めるわけではありません。
AIをマーケティングに使う社員が活用することに慣れて、顧客にもAI業務の対応が浸透し、利便性や効果を感じるまで長期的な目線で運用することが大切です。
特に、長期的な運用は、顧客情報の活用、社内体制の整備、社員研修・教育に余裕が生まれます。
失敗のリスクがあることを考慮する
AIは便利な反面、使うことが目的化しやすいなどの失敗リスクがあります。
「ツールを導入したら何でも効率化できる」のではなく、「目的があるからその部分を効果的に効率化できる」のです。
特にAIの導入で失敗した時、目的が不明瞭だと、「何が原因で失敗したのか」わからないことがあります。
後で失敗を改善して、さらなる効率化を目指すためにも、目的や目標(KPI・KGI)を意識してAIを導入し、マーケティングへ活用することが大事です。
AIで代用できる部分、できない部分を把握する
AIは情報を集積して人よりも多くの知識の蓄積やデータベースを活用した回答パターンへの対応が可能です。
しかし、AIには「得意なこと」と「不得意なこと」があり、マーケティング業務の内容によってはAIとの相性が悪いことも考えられます。
具体的には、創造性のある業務では、AI活用が難しいことです。
一般的ではないことや、流行の最先端で新しい知識や常識、言語化の難しい人の経験やノウハウが必要な部分などについても適しません。
AIでどこまでのマーケティング業務を担うのかは、事前に決めておくことが大事です。
AI導入や外注の注意点
AIマーケティングには、内製や外注でシステムを構築するときに下記の注意点があります。
まず、AIマーケティングを活用したシステムには、人材を採用するにせよ、外部に依頼するにせよ、導入に費用がかかることです。
特に企業のAI導入は、初めての会社も多いため、システム会社やコンサル会社との契約で相談から運用まで任せます。
依頼する会社や業務範囲、プランによっても費用は利用範囲によってピンからキリまであります。
予算面からも、AIに任せきりにならない業務体制を構築して、一部効率化に予算を絞って使うことがおすすめです。
依頼する会社選びが難題
外注する場合は、AIをシステムに導入する会社が急速に増えたため、AIマーケティングに十分対応できるシステム開発企業が少ないというデメリットがあります。
AIは活用事例が知られるようになってまだあまり時間が経っていないため、どの会社も経験が浅いことです。
AIマーケティングとなれば、さらに対応できる会社の数は少なくなるでしょう。
導入例でわかる2つのポイント
AIマーケティングは顧客管理情報とSEOのデータ活用を中心に、さまざまな企業で導入が行われています。そのため、業種によって多彩な事例があります。
具体的には、以下のような活用例です。
- 経営者・社員が行うマーケティング業務の効率化
- チャットボットの導入で集客の効率化を図る
- 自社の事業内容や運営サイトの改善施策をAIが提案する
- 営業や販売部門の収集データを分析して顧客コミュニケーションや集客に活かす
- 物流のサプライチェーンで在庫管理数を正確に予測する
例えば、マーケティング業務の中でも集客を担うカスタマーサポートやホームページ・ECサイトの運営は、多くの人手が必要となります。
そこで、AIの代名詞となるチャットボットを導入することにより、人間が直接対応する場合とAIが自動で対応する場合にわけることが可能です。
顧客対応の業務を効率化するために、AIマーケティングをさまざまな企業が導入し始めています。
【顧客情報管理(CRM)を活用しやすい】
営業職がAI搭載のMAツールを活用して顧客情報を整理・分析します。顧客情報管理(CRM)を分析対象にすることで、ニーズの把握を容易にすることが可能です。
実店舗企業の中には、来店客をカメラ情報から分析するAIマーケティングの手法もあります。
ECの在庫予測では、ビッグデータから精度の高い予測が可能です。
EC事業者の在庫管理や季節ラインナップを将来予測によって、繁忙期・閑散期における在庫を最適化します。
- ECの売上・購入量(必要になる仕入れ数)
- 顧客訪問数(実店舗では天気からの来客数を予想)
- 電力会社の発電量の予測
以上がAIマーケティングで顧客情報管理(CRM)を活用できる代表的な事例です。
【SEOにも活用できる】
マーケティングの中でもSEOは、AIを活用しやすい分野の1つです。
SEOでは、自社ホームページやECサイトの運営情報から分析し、改善策を立案するため、AIを使える場面が多くあります。
例えば、サイトの外部対策や内部対策を進める際に、AIによりデータ分析して、それに基づいた活用を取り入れられるなどです。
SEOの施策は、ユーザー数や訪問時間、キーワードの傾向など、人が分析まで行えば手間のかかる作業でも、AIでデータを簡単に活用しやすくなります。
他の活用例でも、人が手作業で行うには膨大なデータを分析し、傾向を把握・予測することが必要となります。代わりにAIがデータからの予測提案を行うため、マーケティング業務に関連した多くの作業を減らします。
上記のメリットでもお伝えしたように、人手によるミスや時間の浪費を減らし、業務効率を向上させることが可能です。
AIマーケティングでマーケティング業務の顧客対応から分析を効率化!
AIマーケティングは、マーケティングをAIで効率化を図り、ツール・システムでできる範囲を広げたものです。
業務効率化や人材不足を補うなど、社内の課題を解決するメリットがあります。
一方で、導入失敗のリスクや外注する場合の会社選びが難しいデメリット・注意点があります。
以上を踏まえて、AIマーケティングの導入を検討してみましょう。