現代のビジネスにおいて、地域に密着したマーケティングはますます重要になっています。また、地域に根ざしたマーケティングは、地域社会とのつながりを深め、企業の立ち位置を強化することにも繋がります。
しかし、実際に地域と交流しようにも、具体的な方法がわからない方もいるのではないでしょうか。この記事では集客イベントと町おこしを絡めた地域密着型マーケティングについて解説します。ぜひ参考にしてください。
地域密着型マーケティング手法とは
活動拠点を中心にイベントを開催して地域の活性化や自社の広報を行っていく手法です。
元々は地方の人口減少や高齢化の改善と地方創生を目的とした自治体によるマーケティング手法で、街のブランド化や観光名所づくりを進めるといった内容でした。しかし、エリアマーケティングと類似した内容から、地域マーケティングを取り入れる企業は増えてきています。
エリアマーケティングと地域マーケティングの認識の違いとしては以下が挙げられます。
- 環境の広さ
- 人の数
- 具体的な手法
エリアマーケティングとは?地域イベントとの違いも解説
エリアマーケティングは国内であれば、東北地方や関東地方、海外であれば、東南アジアやヨーロッパなど、広範囲でのリサーチやサービス展開を意味するように変化してきているのに対し、地域マーケティングは「町」に焦点をあてて、より狭い範囲で特性に合わせた施策を展開していく手法です。
エリアマーケティングとして「街」を選択することはあっても、「町や区」という限られた範囲での活用は少なくなってきています。
今回紹介するのは、地方に密着して活躍している事業者様を中心に集客やリード獲得を目指した地域マーケティングを紹介していきます。
イベント・地域貢献活動事例
日本全国でさまざまな企業や団体がイベントを実施し、町おこしと共に集客へと繋げた事例を紹介します。
被災地で仮設トイレ設置訓練の実施
2022年12月に東京ビックサイトで開催された「SDGs Week EXPO展」というイベントでは、スターライト工業株式会社が参画した「日本トイレ研究会 防災・仮設トイレ研究会」と命名されたブースを設け、災害用トイレの展示などを行いました。
宮城県東松山市にてスターライト工業株式会社は、災害用トイレの設置運用訓練を実施しています。災害時の対応ノウハウを現場で活かせるよう、災害時に避難所が素早く機能できるよう運営ノウハウを伝えています。
(参考)https://starlite.co.jp/newsrelease/event/20221102
自社イベントの開催
はじめは企業や地域の出店者が集まって起こしたイベントが、町を代表するイベントになった事例は数多くあります。
- 富山県:eスポーツ
- 埼玉県:ゆず風呂世界一
- 福島県:縁日イベント
上記イベントは資金面と人材が豊富な大企業などと違い、地元企業や学生が主催しています。町おこしを通じて集客できる参考になるかと思いますので、ぜひそれぞれの紹介を読んでみてください。
富山県:eスポーツ
日本eスポーツ協会の支部である富山eスポーツ協会が2016年に開催したイベントは、2022年には地元や地域企業を巻き込み北陸最大のeスポーツイベントと言われるほど成長しました。初開催されたイベントの定員は80名でしたが、現在は各都道府県で予選を行うほどの成長をしています。
2022年には、大型の選手権から派生し、高齢者をターゲットにした「ワクワクとやまシニアeスポーツ月間」といったイベントなどを開催しており、町おこしの一環もかねています。
埼玉県:ゆず風呂世界一
埼玉県入間郡越生町で2021年に開催されたイベントでは、毎年開催されていたゆず風呂の企画と、日本記録に挑戦する企画を掛け合わせて、お風呂に入れるゆずの数に挑戦しました。結果2,100個のゆずを一つずつお風呂に浮かべ、公式に日本一に認定されています。
このイベントはネットニュースにも取り上げられ、多くの観光サイトに掲載されるようになりました。
このイベントを開催したのは、「オーパークおごせ」という温泉やバーベキューなどを楽しめるレジャー施設です。町の特産品であるゆずを広めつつ、話題性を集め集客へ繋げる手法も注目されています。
福島県:縁日イベント
福島県福島市の土湯温泉で行われた縁日イベント「ふれ愛つちゆ 夏 Let’s Play Tsuchiyu」は、福島学院大学が主催して開催されました。
このイベントでは、町を巡りながら謎解きゲームやカフェエリア、ミニ縁日、VRを使った足湯など多くのブースが用意され、地元新聞に掲載されるなどして注目されています。
ゆるキャラの登場やチラシ配布など広報にも力を入れており、学生という立場でもイベントを起こした数少ない事例です。
自治体イベントに参加
自社でのイベント開催が難しいと考えるのであれば、自治体が開催するイベントへの参加も視野に入れてみましょう。
例えば、北海道の各自治体がおこなっている冬祭りでは、雪像の展示やコンテストをおこなっています。学生や地域の企業も多数参加しており、自社の名前を認知してもらうきっかけ作りとなります。また、自治体との繋がりを作りやすくなるため、多くの地域密着企業が毎年参加しています。
顔を合わせる機会を作ることで、サービスの認知・利用のハードルを下げる効果も期待できます。新規顧客の獲得はもちろん、求職者獲得に繋げることもできます。まずは本社のある地域の自治体のイベントを確認し参加を検討してみましょう。
地域イベントによる効果
地域イベントによる効果は以下が挙げられます。
- 地域住民からのリード獲得
- 活動エリアのブランディング
それぞれ見ていきましょう。
地域住民からのリード獲得
リードを獲得したいターゲット層に向けたイベントを実施することで、これまで何らかの理由で得られなかったリードを獲得できる可能性が高まります。リードを得られていない理由としては以下が考えられます。
- 競合他社の顧客である
- PRが不足、または訴求の方向性が違う
- 認知されていない
大きく分けて上記の3点です。PRや他社の顧客へは広告の改善などが重要になりますが、認知されていないということは自社の露出が少ないことを意味します。地域イベントなど顧客の目にとまるような活動により、リードの獲得が期待できます。
活動エリアのブランディング
自社で開催するイベントは、水道工事に直結するものである必要はありません。地域イベントを実施する上で重視するのは、会社の認知向上とCSR(社会的責任)と呼ばれる社会貢献活動の実施です。
緊急性の高い水道修理は、悪徳業者によるぼったくり被害が多発しており、顧客からは企業の信頼性が重視されています。そのため、イベントを通じて自社のブランディングを高め、潜在顧客の獲得や、競合他社からの顧客流入を狙えます。
自治体とのマッチアップ
近年、日本では都市部への人口流入による高齢化や人口減少の問題を改善するため、多くの町で活性化のための取り組みが模索されています。しかし、予算や人材の確保が難しく、なかなか開催に踏み切れないというのが現状です。
また、企業側としても、大企業のようなブランド力がないと、イベントの集客につながらないという不安があるのではないでしょうか。そこで、自治体とのマッチングにより国の補助金を獲得し、自治体のネームバリューで集客力を高める方法をご紹介します。
主催・共催を活用
- 主催とは〜イベントの中心となって開催すること
- 共催とは〜複数の団体によって開催すること
いきなり自社でのイベント開催が難しいと感じる方は、自治体と「共催」にすることで集客や場所の確保、テントなどの機材の借用ができ、自社の負担を軽減して開催できるようになります。各自治体はイベントを開催したり管理したりする部署があるので、まずは相談してみましょう。
日本政府や自治体による町おこし支援
日本政府も町の過疎化は問題視しており、町おこしに関わるイベントに助成金の支援を行っています。その一つとして文化庁では、歴史的な展示品や音楽などの文化を活用した地域活性化に関わる取り組みの支援を行っています。
また、自治体によってはその町の活性化助成金として補助金をだしています。たとえば、北海道美深町、福島県福島市、愛知県などさまざまな自治体が取り組みを行っているため、活動エリアの自治体に確認してみましょう。
地域マーケティングを活性化させる手法
地域マーケティングを活性化させる関連手法を紹介します。
- コンテンツマーケティング
- 地域KWのリスティング広告
- 自治体とのマッチアップ
- SNS広報
- 顧客管理
コンテンツマーケティング(ローカライズ)
ローカライズとは、地域名をKWに含んだコンテンツを発信することで、その地域を検索したユーザーに表示されやすくなるSEO施策です。地域に密着した事業を行う企業サイトでは重要な施策で、地域KWでを検索を行うユーザーは顕在層である可能性が高く、緊急性が高い水道工事業界では重要度が高いです。
活動する地域特有の環境やイベントなど、ユーザーにとって親近感を与えられる情報を発信できるため、ユーザーファーストを重要視しているGoogleからの評価も高まりやすく、相乗効果を得られます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
▽コンテンツマーケティングを詳しく
地域KWのリスティング広告
リスティング広告は検索KWに関連する広告を検索画面に表示する広告です。検索画面に「スポンサー」「広告」とタイトル上に記載されているページが該当します。
地域KWを含んだタイトル・広告を打ち出すことによって、該当する地域住民の検索画面に表示されやすくなり、認知向上やサービスの利用に繋がりやすくなります。例えば、「水道工事 おすすめ」と検索したユーザーに対して以下2つではどちらが選択されるでしょうか。
- 居住している地域付近の水道工事業者サイト
- 遠い地域で活動している水道工事業者サイト
この2つから選択する場合、まず居住付近の水道工事業者サイトを閲覧するのではないでしょうか。このように地域KWを含んだリスティング広告は狙ったユーザーへの効果が高く、広告効果を得られやすいです。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▽リスティング広告について詳しく
SNS広報
地域に密着している企業であるとアピールする場として優秀です。ユーザーはTwitterやLINEなどの企業アカウントが発信している、イベントの告知やセール情報を得るために、地域の企業や行政のアカウントを登録(フォロー)しています。
近年SNSを利用するユーザーは高齢者も含めて増加しており、各SNSのアクティブユーザーは増加傾向です。検索ユーザーにしか表示されないリスティング広告に対して、元々興味がなかったユーザーへのアピールも可能なため、多くの企業がSNSマーケティングに着目し参入しています。
イベントの告知や、申し込み方法としての活用も可能なため、積極的にSNSを利用していきましょう。
その他SNSマーケティングについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
▽他社と差を付けるSNS集客
顧客管理
密着した地域の限られた顧客の中では、既存顧客の維持が非常に重要です。新規顧客を狙いにくくなる環境の中で、リピート率を高め競合他社への流入を防ぐ必要があります。
情報社会ともいえる現代では、簡単にサービスの比較・検討・口コミといった情報が得られやすくなっています。緊急度の高い水道修理でも、サービスや口コミ評価によっては、多少時間がかかっても遠くの評判の良い他社のサービスを利用するユーザーもいるでしょう。
既存顧客を維持できるよう以下の記事を参考にしてください。
▽顧客管理と維持
地域1番のリードを確立させよう
地域に根付いた企業は、地域住民へのブランディングによる認知や信頼性が重要です。地域住民をターゲットにしたイベントの開催や参加によって、親密度を高め潜在顧客の獲得が期待できます。自治体によっては、地域活性化事業への助成金の支援を行ってくれますので、イベント開催を考える方は活動エリアの自治体に相談してみてください。